あの日からずっと……



第3話、お守り




 今日も、私は学校を終えてからすぐに家に向ったわ。
 少しでも長く外にいたくない……そう思っていた。だから、ここの所三日間程ずっと学校以外は家に篭ってた。でも、今日吉田さんたちが「今日は江戸川君の誕生日だから祝ってあげるんだ」と張り切っていたのを思い出した。

 江戸川くんの……誕生日。

 そう言えば、まだプレゼントを買ってなかったわね。  ここの所、組織の事で頭がいっぱいだったから。大丈夫、人通りの多い所にいれば、彼らは手を出してこない筈よ。

 いつから、私はそんなに警戒心が弱まったのかしら……平和ボケしてしまっていたから、後に騒ぎが大きくなる原因になったのかも知れないわね。
 でも、いつも彼には感謝してもし尽くせない程、たくさん助けてもらってるもの。
 彼のおかげで、今の私があるから……お姉ちゃんの事からも、前に進めるようになったから。

 せめて一年に一度のこんな時くらい、恩返しをしたかったのよ。

 私は家に向うはずだった足を止めて、そのままデパートへと向った。
 昔の私なら、こんな無用心な事しなかったのにね。

 デパートでまず小さなケーキを手にして……それから誕生日プレゼントを見つけるため店内をうろついた。

 工藤君、どんな物が喜ぶかしら? 目に映った仮面ヤイバーの人形を見て、くすっと笑う。

「こんなものあげたら、彼どんな顔するのかしらね」

 それとも、江戸川コナン君宛にこれをあげて彼の反応を見た後で……皆が帰ってから工藤君に本当のプレゼント渡すのも悪くないわね。

 彼の反応を想像すると…なんだか楽しくて。こんな時に楽しむなんて私本当にどうしちゃったのかしら? と思いながら……その仮面ヤイバーをレジに持っていった。

 プレゼント用にと言って、それを包んでもらって。工藤君には、別のプレゼントを探した。

 キョロキョロとしているうちに、私の目に入ったのはお守りコーナーの中にある、厄除けの小さなストラップ。
 お守りなんて、信じていないけど、彼のことがいつも心配で仕方が無いから……危なっかしくて、仕方が無いから。
 こんなのでも、ないよりはあった方がいいかも知れないわね。これなら、携帯につけていつだって持ち歩けるし。

 私は、いくつか並んでいるそれを一つ手にとり、包装してもらったわ。会計を済ませ、ランドセルの中にそれをしまって……私は博士の家に向っていった。

「早くしないと……工藤君も来ちゃうわね」

 デパートを出て家に向う途中、突然誰かに後ろから口をおさえられて……




 気が遠くなっていく中で、私は直感した。組織に、ついに掴まってしまったのだと。
 バカよね。どうして、もっと気をつけなかったのかしら……一番、彼らの恐ろしさを判ってた筈なのに。


 意識を失う直前……頭に浮かんだのは彼の事だった。


 工藤君、お願い。逃げて。あなただけでも…………無事に。


 完全に視界が暗くなった後で、私はその場から連れ去られて行った……


 昔は私も当たり前のようにそこにいた、彼らの巣の中に。

 


〜第4話へ続く〜













作者あとがき〜〜♪♪


こんにちは、朧月です。
今回は哀ちゃん視点という事で………
時間的にはコナンが攫われるちょっと前って所でしょうか………
これは本当に最初入れるつもりがなかった話です。
次回、哀とコナンがどうなってしまったのか分かる事でしょう。(多分)
では第3話も見てくれてありがとうございます。どうでしたか?
こんなお話ですが、次回も是非見て下さいねっ!!!

ではではっvvv