あの日からずっと…… 第11話⇒服部の生死……
「あ…のさ…………服部が胸撃たれたのって…俺の夢じゃ…ないんだよな…?」
俺の言葉に、蘭は立ち止まり…振り返った。 「…………あ………」 蘭が言葉を濁した。顔は明らかにさっきと違い、暗くなっていて… ………そうか、夢じゃないんだな………… …………本当に………あいつは………… それを、思い知らされた。 ふいに、彼女の顔が頭に浮かんだ。 「……和葉ちゃん…はさ……、どうしてる?」 俺の言葉を聞いた蘭の目が大きく見開かれた。 どうしてそんな事を言うのかわからないとでもいいたげな、驚いたような顔だ。 「………………和葉ちゃん…………………?」 不思議そうに俺を見つめる蘭。 服部は、彼女を残して死んだんだ…… 俺の所為で……… 俺は続けた。 「俺のせいだからな…恨んでるだろ?俺のこと。 当然だけどな……やっぱり、すごい泣いてたか?」 初めて彼女にあった時から、彼女の服部への思いの大きさは伝わっていた。 蘭に向かって、自分と服部は鉄の鎖でつながれた仲なんだと言った彼女… 服部を助けるために…命を捨てようとした事もある彼女… 当然、勝手に関係ない組織との戦いにあいつを巻き込んで… そして俺を庇って死んでしまったという事実に怒っているとは思っていたのだが… 「……………泣いて…たけど、………恨んではいないと思う………よ?」 蘭は怪訝な顔をしてそう言った。 恨んで、ないって? 「……だって、蘭もさっき俺に言ってただろ。死んだら許さないって。」 「……………???…う、うん……言ったけど……………???」 蘭は首を傾げた。 それとこれと、何が関係あるのって顔してやがる。 ……なんでわかんねーんだよ? 普通分かる筈だろ? お前も、彼女も…同じような境遇で…… 探偵なんて危険な事に首突っ込んでるヤツを好きになってくれて… だから、彼女だって蘭が俺に泣いてすがりついて来たのと同じくらい… 悲しくて辛い想いをした筈なのに。 だって、服部は俺に会わなければあんな組織と関わる事はなくて… 俺を助けに来なければ、銃弾を浴びる事なんか無くて… 俺を庇わなければ…俺が、もっとしっかりしてれば………あいつは… 「服部……幸せになる筈だったのにな。何で俺なんかの為に………」 「…………『為に…』………なに?」 それでも蘭は、不思議そうに首を傾げる。 最後まで、言えってのか? 結構、手厳しいんだな。 蘭もやっぱり、服部をあんな目にあわせて、和葉ちゃんに悲しい思いさせた俺を… 無謀な事してた俺に…怒ってんのかな。 …仕方ないよな。 だって服部は……服部は俺の所為で………… 和葉ちゃん………本当にショック受けたんだろうな。 なのに俺のこと恨んで無いだなんて…… そんな事…あるわけ無いじゃんか!! 「俺なんかの為に………なんであんな事を……… 組織に…関わってたのは………俺だっ…てのに……… 服部は、……………服部は…………… 服部は俺が殺したようなものなんだ!!!!!」 随分と、長い沈黙が続いた。 蘭が真っ白になってやがる。 驚いたように…すごく大きく目を見開かせて……… どうしたんだよ?俺がそんな事考えるようなヤツだとは思ってなかったってのか? でも、実際そうなんだ……… あいつは俺が殺したようなものだ。 服部の命を奪ったのは…………他ならぬ俺なんだから……… 関係なかったはずのあいつが…死んだのは………俺のせいだ。 親友…だと思っていた。 あいつが初めて東京に押しかけてきたとき… あの時は、何故か勝負にばっかり拘ってて、自信過剰な変なヤツだと思ってたけど… あいつは俺の正体に気付いて… それからは何度も東京に尋ねてきたり…大阪に呼ばれたり…事件の時に鉢合わせたり… やっぱり変なヤツだったけど…気がついたら、気を許してて… 元々友達は少ない方じゃなかったけど…あんなに気が合うやつは居なくて… コナンになってからはもちろん、新一だった時もあわせて、 初めて、対等で居られるあいつと推理している時は、実は楽しかったりもしたりして… そんな事…言葉に出すのは照れくさいから… いつもあいつの前ではそっけない態度とって……… でも本当は、あいつは初めて出来たライバルで…初めての親友だと思っていた。 ……それなのに…それなのに… あいつが銃弾を浴びて倒れこんできた時の情景を思い出して、俺は顔を歪めた。 「…………………あの…………………新一………?」 蘭は顔を引き攣らせて俺に話し掛けた。 少し困ったような…そんな顔で。 「…何?…いいぞ、お前も俺のこと怒って……お前にとっても友達だったんだろ?」 蘭にとっても、あいつは友達だったんだ。 だから、責められれば……少しは気が楽になるから。 そう、思っていたけれど…… 蘭は俺の言葉に、また言いづらそうに口を開けた。 「………あ、ううん。そうじゃなくて……………あのさ、新一…………」 苦笑しながら、どこか気まずそうな顔で、俺を見つめる蘭。 何だかその態度が、とてもじれったく思えた。 「……………だから、何だよ?……………」 ついつい口調が荒くなる。 蘭は少し俯いて、気まずそうに俺の顔を上目遣いで見た。 「……………あのさ、新一………何か、勘違いしてない………?」 次いで出た予想外の台詞に、俺は一瞬目を丸くした。 「………勘違い?」 「…………う、うん…………」 俺が聞き返すと、蘭は苦笑しながら頷いた。 勘違いって……どういう事だよ? 「…そんなんじゃねーよ。あいつは関係なかったはずなのに…あの時俺を庇ったんだ。 それで心臓撃ちぬかれて…………あいつは…もっと生きるべきだったんだ。」 「工藤!!」その叫びが…今でも頭から離れない。 無傷で、帰れたはずのあいつが撃たれたのは…紛れも無く俺の… 「…………あ、だから……ね?新一、すごい勘違いしてるよ。」 「…………だから、何を!?」 それでも苦笑を浮かべて、まるで子供に言い聞かすかのように言った蘭に、僅かに腹が立った。 勘違いしてる事があるなら…はっきり言えばいい! どうして、じらす必要があるんだ!! 蘭は、一瞬俺の顔色を窺って、やはり気まずそうに軽く微笑んだ。 そして、すっとベッドを区切っているのだろうカーテンを指差した。 「……え…っと………このカーテンの向こう側のベッド……誰が居ると思う?」 カーテンの………向こう側??? 蘭が何を考えているのか全く分からない。 「……は……!?………そんなの、病人か怪我人の誰かに…………」 俺の隣のカーテンを指差す彼女の問いに、とりあえず答えを返した。 それ以外に、一体誰が居るってんだ? 今度は俺が怪訝な顔をする番だった。 何だよ?静かにしろって事か?? そんな事を考えながら、呆然と蘭を見た。 蘭は再び気まずそうな顔で俺を見て…… 「…………だから…………服部君。」 「……………………………………………………………」 恐らく、数十秒間は思考が完全にストップしていたのだと思う。 俺は首をかしげたまま,放心した。 蘭の顔に視線をやりながらも、目には何も映っていなかった。 瞬きするのも忘れて、口をぽっかり開けて………ショックで声が出なかった。 絶句している俺を、蘭がどんな顔で見ていたかは分からないけど… 今、どんなに間抜けな顔してんだろうな……俺。 「あのね、服部君……死んで、ないよ?」 「……………………は??」 〜第11話へ続く〜
おこんばんは〜〜v朧月でぇっす!! ……新ちゃん、今回かなり間抜けだわっ。一人勝手にシリアスだよ(笑) あぁ…ついにここまで来ちゃったんだなぁ…… ちっ…もうちょっとひっぱりたかったのにっ!! 生死不明の服部君!!(おいこらっ) 蘭ちゃん、あと二行その台詞待ってて欲しかったなぁ(笑) さてさて…死んでない服部君、一体どうなってる事でしょう(笑) 次回、新ちゃんと平ちゃん涙と感動のご対面!!(いきなり次回予告風に。) ……な〜んて、そんな涙と感動のご対面してくれれば嬉しいんだけどねぇ…(^^; どうにもそんなご対面してくれないような気がするんだなぁ、これが(おい〜っ;;) さて、ではでは今回も読んでいただきありがとうございましたっ!! 次回もよろしくお願いしますっ!!! では、感想お待ちしてま〜すっ!! それでは皆さん、Bonne nuit!! |