「いい加減に泣き止めよ。」

二人して、森を探検を楽しんでいたのはいいけれど、
羽目を外しすぎたらしい。
森の主とも呼べる存在となっていた野生の犬に追い回されて、
二人で転びながらも必死で逃げて、逃げて。
傷だらけになりながら、ようやく振り切った頃にはもう夜で。
見覚えがない木々に囲まれていた。
闇の中から響く獣の声に、ついに泣き出してしまった彼女。

どうしてだかは分からないけれど、
どうしていいのか分からなくて。
どうにも出来なくて。
君の涙を見ると、こっちも泣きたくなる。
けれど、僕が泣いたら、多分君はもっと不安になるから。
絶対に、泣かないと心に誓った。

頭を撫でて、先ほどから何度も君の涙を止めようとしたけど。
それでもまだ泣きじゃくる彼女の肌についた傷が、痛い。
森で迷子になって暗闇で二人きりなんて事よりも。
帰れるかっていう不安よりも。
まずは君を慰めたい。君の涙を止めてあげたい。

どうすればいいか、必死で考えながら、
ただただひたすら君の頭を撫でて。

ねぇ、僕が何をすれば、君は泣き止んでくれるの?
僕が何をすれば、君は安心して笑ってくれるの?
どうしたらいいんだか、分からない。


あぁ、困ったなぁ。


・感想つっこみ大歓迎♪・