「ねぇ、新一ぃ、あそぼ〜」
「あぁ、ちょっと待ってて」
それは、とある休日の事。
新一の家に押しかけた蘭は、ソファで本に熱中する彼の姿に、しゅんとした顔を浮かべた。
一度こうなってしまうと、彼は他の事なんか目には入らない。
手元にあるのは、発売されたばかりの推理小説だ。夢中になってそれを読み進める彼は、遊びに来た蘭の事もお構いなしだった。いや、むしろ遊びに来てる事にも気付いているかどうかは危うい。
「ねぇ。新一、あそぼってば」
「あぁ、だからちょっと待って」
先ほどから、何度呼びかけても何を言っても、新一から帰ってくる言葉は「ちょっと待って」ばかり。
読み終わるまで、そこいらの本で暇をつぶそうにも、推理小説がずらりと並んだその部屋に、蘭が気軽に読める本はない。
当然、新一とて送り仮名もふられていない難しい文字を、すらすら読み進められるわけでもないから、読んでいるのは仮名がふってある児童用ではあるけれど、そんな事は関係ない。
問題なのは、内容のむずかしさなのだから。
つまらない……そこで、蘭に残された道は、一つ。とりあえず新一に話しかけることだけだ。
「ねぇ、新一。本面白い?」
「あぁ、ちょっと待って」
返ってくるのは気のない返事しかないと分かっているけれど。
「ねぇ、新一。明日の時間割なんだっけ」
「あぁ、ちょっと待って」
会話が全く成立しない……というか、話を聞いてない? むっとした蘭は、しかしその顔ににまりとした笑みを浮かべた。
「……ねぇ、新一。”ちゅー”しよ」
「あぁ、ちょっと待っ……」
先ほどと同じように言いかけて、でも、先ほどとは違う歯切れだ。
ぴくっとゆれた肩が、すごい勢いで蘭の方をむいた。
「――っ!!?」
振り向いた新一の驚いた顔と、そのほおが赤く染まっているのを見て、してやったりと勝ち誇る蘭であった。
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こちらは、□■Chibi-Festa■□様参加作品。
こちらもイラストと、文章つきで投稿させていただきましたv
そして色鉛筆画なのは、単にパソコン画描く余裕が無かったからという理由で^^;;
でも、時間ちょっとすぎてしまった><;快く受け付けてくださったどいるさんと、たかさんに感謝ですっvv
あの時時間がなくて、浮かべてた大まかなストーリーを手が動くまま書くしかなかったけど、後で見てみたら微妙に文章的におかしかった気がするのでこちらで完全版としましょうvv
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