真実の姿
〜An unpainted face〜





第4話、新たな疑問…

「ごめんな、平次……コナン君。」

最初に口から出た言葉は、謝罪の言葉やった。
何て言って誤魔化していいのか、全然思いつかん。
今呼びに来たんやないっちゅう事なんか、
蘭ちゃんに聞けばすぐに分かってしまうやろし…
何であたしが謝らなきゃあかんの?って思ったけど、
ここでホンマの事言う事も出来へんし……
何か気まずくなってしもて、その場から逃げ出したかった。

「あっ……えっと、とりあえず紅茶でも飲んで落ち着こうよ。ねっ?」

蘭ちゃんが必死で笑顔作りながら、あたしと平次達に話し掛けてきた。
気まずい雰囲気を察して、事情はよう分かってへんのやろけど、
頑張ってこの場を明るくしようとしてくれてんのや。

「………そやな。まぁこの話は止めにしよか。」
「和葉姉ちゃん、気にしないでね。」

平次とコナン君が口々にそう言うた。
あたしの事、責めないん?
気ぃ付いてるんやろ?あたしがここで盗み聞きしてたんやって。
何を聞かれたかとか、気にならないん?

「ねっ、和葉ちゃんもあっちの部屋行こ……」

蘭ちゃんが困っとる顔で微笑んで、あたしを覗き込んだ。
あたしは、一度だけ平次とコナン君の様子をちらっと見てから、蘭ちゃんに言った。

「……そやね。ありがとな、蘭ちゃん。」

平次とコナン君は、何でか胸を撫で下ろしてホッとしとるみたいに見えた。
けど、あたしは知らんかってん。
ホンマは、平次とコナン君が一番この話題から逃げたかったんやっちゅう事は。
こん時は、ただ蘭ちゃんに感謝しとった。
気ぃ遣ってくれてありがとな……って、心ん中で何度も蘭ちゃんにお礼言っとった。
あたし達は、まだ僅かにギクシャクしながらさっきまで居った部屋に向った。

あたし達ソファに座らして、「紅茶入れてくるから」て言うてパタパタと行ってしもた。
平次とコナン君はしばらく黙っとったんやけど、やがて何でかあたしの顔色窺うて
気まずそうに二人で顔を見合わせながら無理な笑顔作って話し掛けて来た。

「な、なぁ和葉……そのっ、どっか行きたい所ないんか?」

突然言われたその言葉に、あたしは一瞬呆けて平次を見つめてしもた。
突然何言い出すかと思うたら、ホンマに…意味分からへん。
混乱しきった頭で、何とか返事を返した。

「…………………………は?突然何言ってんの?」

平次はやっぱりどう見ても不自然な笑顔で答えた。

「あっ、いや…今朝遅れた埋め合わせに、折角東京きたんやから
四人でどっか行かへんかな〜って思うてな。……なぁ、ボウズ?」
「うん!そうだよ。トロピカルランドとか……和葉姉ちゃん行きたがってたじゃない?」

何か、必死になって話題逸らしてるみたいや。
あたしは怪訝に思て首を傾げながら、二人に言うた。

「…なんで今その話が出てくんの?」

二人は、もっと慌てとる顔であたしに言った。

「いや、ほら…な。さっきボウズとその事も話してたんや。」
「………………そう、なん?」
「う、うんっ!!平次兄ちゃんが和葉姉ちゃんと僕と蘭姉ちゃんと
遊びに行くの計画してるからって。」

ちゃう………さっきの話は、そんなんやなかった。
確かに、二人とも今朝の電話の事話しとったやん。

何で、そんな嘘つくんや?
まるで、さっきの会話をあたしの頭ん中から消去しようとしとるみたいや。
あたしが、まさか盗み聞きしとったなんて言えへんの知っとって…………

あたしの中で、さっきまで無かった疑問が浮かんできた。
そう言えば、何でさっき平次もコナン君もあんなにあっさりこの話終わらせたん?
いつもの平次やったら、嫌味の一つも言ってくる筈やのに。
それどころか、ご機嫌取りみたいな真似して…………
さっきのアレ…そんな後ろめたい内容やったん?
確かに、電話の事やったんよな……………
そら………聞かれたら気まずい内容やったかも知れへんけど、
何であたしのご機嫌とるような事するん?

あの会話、あたしがいっちゃん疑問に思うたんは……コナン君の事や。
何であんな口調やったん??
何で平次何にも言わへんかったん??
普通やったら、子供にタメ口使われたら怒るやろ。
それどころか、コナン君の方が立場的に強かったような気ぃするし……
どういう……………事なん?

あたしは、何がなんだか分からなんかった。
コナン君て、一体何者なんや???
そんな疑問だけが、あたしの頭の中でぐるぐる渦巻いとった。
けどこん時も、まだあたしはコナン君の真実の姿にたった一歩近づいただけやったんや。
江戸川コナンっちゅう子供の仮面かぶった………
優しくて悲しい彼の素顔に、たった一歩だけ近づいただけやった。


〜第五話に続く〜


あとがきぃ〜〜vvvvvvv!!!

また短いんかいな!!!
あ〜ぁっ、ここらで区切りつけとかないと
朧の下手くそ関西弁でみんなの言語感覚が崩れてしまうやん。
何かキーボードに向うと勝手に関西弁打ち始めてる自分に気付いちゃったし…
あかんよ、普通の言葉打つ方が難しくなって来てしも……き、来ちゃいました;;;
朧って、口調移りやすいんだよなぁ…………
今口で喋ってる言葉は哀ちゃん系やし…………
「あら、そうだったかしら?」とか………(お前がやるとキモいぞ朧!)
勝手に移っちゃうんですよ〜〜
では、次回もよろしくお願いしますっvvv