ENGAGE RING

〜HEIJI&KAZUHA VERSION〜


SIDE:Kazuha Toyama




ずっと一緒にいた。いつも一緒にいた。
だから一番近い存在……でも、一番遠い存在。

あたし、遠山和葉。浪速の女子高生や。
うちのお父ちゃんが大阪府警の刑事部長やっとる関係で、
ちょお勝気な所もあるんやけど、どこにでもおる高校生やで。
それから、あたしには好きな人がおるんや。
服部平次ゆーて、お父ちゃんの親友で大阪府警本部長の服部平蔵の息子で、
生まれた時からいっつも一緒やった。
手錠で繋がれて、風呂もトイレも一緒やった事もある。
そのかけらは、実は今もまだ残っとって、あたしらが持っとる大事なお守りの中に入ってるんや…。
私はいつも平次のお姉さん役やって言ってるんやけど、
ホンマはあたしのほうが守られてばっかで、足引っ張ってばっかりや。

「幼馴染みになんて、ならなかったらよかったんや……。」

あたしははぁ…とため息をついて、平次の家を見た。
平次とは、三日前に喧嘩したっきり、会ってへん。
いつもやったらすぐ仲直り出来るんやけど…今回はそうはいかんかったみたいや。
最近、平次の様子がおかしいのはわかってたんよ。
でも、まさかあんな所見るとは思わなかったんや。

三日前、あたしは平次を町で見掛けたんや。
声掛けようと思ったんやけど、あたしは気ィ付いたんや。
平次が可愛い女の子と一緒に居る事。

そんで、その子と一緒に……宝石店に入ってくとこ。

平次達が見とったんは、指輪やった。
なんであんな所見てしもたんやろ……。
中に居る平次は凄い楽しそうで、あたしは凄いショックやった。

それで、その後は言い合いになってしもて…

あたしアホやん……
勝手にあたしが怒ってしもたんや。平次は、全然悪ないのに。
だって、あたしたちはただの幼馴染みや。
浮気でも二股でもない……

けど、ショックやってん。
平次が、あたしとちゃう…他の女の子と楽しそうに指輪選んどる姿………
あたしが悪いんは、分かってるんよ……
でも、平次をまともに見れへん。
だって、あたし……告白する前に失恋してしもてん……
平次と、まともに話せへん。


(所詮、あたしは平次のお姉さん役や………女としてなんて、思われてないんやね。)


そんな事、分かってた筈やん。
でも………


「和葉っ、ちょお待ち!!」

後ろから追いかけてくる平次から逃げたくて……
顔見たら、思い出してしまうやん……
平次が、あの女の子と一緒に指輪見てた事……
あれ、あの後あの子にプレゼントしたんやろな……

「和葉っ!!話があるて言うてるやろ!!いつまで意地張ってんのや。」

声が……うるさい。
あたしには、いつも怒鳴る事しかせえへんくせに。
あの娘の前では、楽しそうに笑ろてたくせに……

「ほっといてて言うてるやろ……今はあんたと話したくないんや。」

……あたし、可愛くないんかな。
もうちょっと、可愛げがあったら……平次もあたしの事少しは女として見てくれてたんかな……

突然、困ったように黙り込んだ平次……
すたすたと早足で歩くけど、さっきみたいについて来とる気配はない…

あたしはつい立ち止まって、後ろを振り向いた。
そしたら、平次は何でか怖いくらい真剣な顔であたしの事見とって……
今まで、そんな顔された事なかったから、あたしはそのまま固まってしもた。

「な、なんやの……?」

何とか声を絞り出したら、平次は無言のまま…怖い顔のままあたしに近づいてきた。

「話したくないんやなかったんか?」
「……だって平次、そんなあたしの態度に怒ってんのやろ?」

だって、こんな顔見たことない……
こんな低い声、聞いた事ない……

「………そやな。何やお前意味分からんことで怒っとるみたいやし………
言いたい事も言えへんし。」

やっぱり、怒ってるんやん。
でも、ちょっとくらい……

ちょっとくらい、あたしの気持ちに気付いてくれても、ええんちゃう?

「……明日、新大阪駅で三時に待ち合わせや。」
「………え?」

何の話か、わけがわからへん。
怒鳴られる、思うたのに………

「せやから、明日三時に新大阪駅に来いて言うてるんや!」
「ちょお待って!あたしの都合はどうなるん!!?」

何か知らんけど強引な言い方に、つい反抗したくなってしもた。
けど、平次は真剣な顔のまま……

「何や、明日用でもあるんか?」
「用なんか……あらへんけど………」

そう言う意味やのうて……
今あんたと一緒に居るのが辛いて言うてるんや!!

けど、平次はそんなあたしの気持ちなんて、これっぽっちも分かってくれてへんのや。

「用ないんやったら、ええやろ。電車乗るから、ある程度金持って来いや。」
「電車て、どこ行く気ぃなん!?」
「どこでもええやろが。……あ、それから明日夜は一緒に食事するから、
お前のオトンにそう言うといてくれや。」

何で、勝手に決めるん!?
あたし、まだいくなんて言うてないやん!

「平っ……」

断わろう思て声を上げたんやけど、既に平次の姿はあたしの前になかった。



「はぁ〜……」

自室の窓の外を見上げて、盛大な溜め息一つ。
学校で、いつも皆から言われる言葉……

「ええなぁ、和葉は。幼馴染みのかっこええ恋人がいて。」
「あたしも平次君みたいな幼馴染み欲しかったわ。」

あたしは、いらへん。
近くに居るんが、当たり前になってしもてる関係なんか……

「なんや?和葉ちゃん平次君と喧嘩したん?」

ちょっと離れたら、みんな喧嘩やて思うみたいやけど……
あたしと平次て、そんな四六時中一緒にいるん?

「けど、和葉と平次て運命的やね。ずっと生まれた時から一緒に居ったんやろ?」

ちゃう……生まれた時からずっと一緒やなんて、碌な事ないんや。
色気も、なんも……ないんやから。
前は平次の事独り占めしてるて思うてたけど……
あたしはどんなに頑張っても、平次の『お姉さん役』にしかなれへんのやから。

お父ちゃん同士が親友で、生まれた時からずっと一緒におって……
物心ついた時から、何でかいつも隣に平次が居って……
何をするにも一緒で……
あたし達の間に、遠慮なんて言葉はなくて……

…………ほんまに、兄弟みたいに育ってきた。

とても近くて……
けど、とても遠い存在。

「『幼馴染み』なんて関係、嫌いや。」

どこか恥ずかしそうに、楽しそうに、あたしの知らない子と指輪を見ていた平次……
思い出したら、涙が滲んできた。

「こんな酷な関係、ないやん………」

彼女が出来ても、笑って「おめでとう」と言わなきゃいけへん……
だって、あたしは平次の『お姉さん役』やから。
笑って「おめでとう」言いたくないんやったら、告白してしまえばええ。
けど………

今の関係が崩れるんも、いやや。




嫌な気分で、向えた翌日。
三時に会って、平次に何処連れてかれるんやろ。
彼女紹介されたりしたら、どないしよ……
「幼馴染みのお前には最初に言っとかんとな…」とか言われたりしたら……
その後三人で食事なんてなったりしたら……
「和葉も早よいい男見つけろや。」なんて言われたりしよったら……
あたし、立ち直れへんやん。




「平次、あのアホ何やってん!!」

あたしの腕時計は間違いなく四時を指しとって、
あたしの携帯の液晶も間違いなく”16:00”やて言うてる。
駅の時計も、あたしの二つの時計が間違うてへんて証拠を見せてくれとる。

………………約束が三時言うんは、あたしの勘違いやない筈や。

そして、あのアホはまだ影も見せてへん!!
今、何時やと思うてるんや、あのドアホ!!!

無理矢理約束押し付けて、遅刻なんて最低や!!



「あれ?でも服部君てそんなに時間ルーズやったっけ?」
「そや!!あたしと約束しても、いっつも遅刻するんやで!
事件が起きて足止めくろたとか、ひったくり追ってたとか言うて!!!」

「でも、いつも学校とか遅れへんやん。あたしらと遊ぶ約束した時も、ちゃんと来てくれたんよ?」



………なぁ、平次。
あたしとの約束は、どうでもええの?
その日会えへん言うても、どうせいつも会えるから………?
あたしは、一分一秒でも……あんたと一緒に居たいんやで?
でも、あんたにとっては、どうでもええ事なんやろね。



「和葉!!待たしたか?」
「……別に、待ってへんよ!!平次がいつも遅れてくるんは、分かってる事やし。」

手を合わせる平次に、あたしは冷たく言った。

「すまんて。今日な、朝からちょお事件遭遇してしもて、間に合う思てそこに居ったんやけど…
ちょお犯人に粘られてしもてな……。」

事件………事件………
いっつも、そればっかやん!!

「けど、この時間やったら間に合うわ。ほな、急ごか。」

ぐいっとあたしの腕を引いて、平次は改札口に向た。
あたしは、強引な平次に振り回されて……何やそれが嫌で……

「あんた、何であたしの約束はいつも遅れて来るん?」

その背中に、問いかけた。
他の時間は守るくせに……あたしとの約束だけ……

けど、平次は歩みを止めないまんま、くるって振り向いて笑顔であたしに言った。

「そんなん、相手がお前やからに決まってるやろ?」


……………………
やっぱり、あたしはどうでもええの?
あたしは、『幼馴染み』やから、待たせても当たり前やて思うてるん?


………俯いたまま、平次に従う。
ここが駅やなかったら、平次投げ飛ばしたりたかった。


平次に従うまま電車乗せられて………
ついたところは京都やった。


………京都?何で??


「和葉、時間ぎりぎりやからな、急ぎ!!」

また平次はあたしの手を引いて、走り出す。

「ちょ、どこ行く気なん!!?」
「着いてきたら分かるて。」

わけもわからないまま、平次に着いていくと……

「………映画、館?」

紛れも無くそこは映画館で、平次はあたしの前に前売り券を出した。
それ見て、はっとした。

これ………
あたしが見たかった、映画……

前売り券、探した時にはどこも売り切れとって…諦めとったんに……
そしたら、平次が手際よくポップコーンをあたしに渡して……

「ほれ、早よ場内入らんと。上映時間ぎりぎりやで。」

またあたしの手を引いて、その場所へ行く。
真ん中の、一番見やすい席……
特等席やん!!

「平次、まさかあんた……映画見るために京都来たん?」

あたしが尋ねると、平次は突然呆れた顔してあたしに言った。

「アホ。映画はおまけや。上映、今日までやったから、ついでにな。
お前前に見たいて言うてたやんけ。」

あたしが見たいて言うた頃は、もう前売り券見つからなかった頃やったのに。
あたしのために……探してくれたん?

「平次……ありが………」

『ありがとう』……
そう言いかけた時に、周りが暗なって、スクリーンに大きく画像が映し出された。
つくづく、間が悪いみたいや……あたし。
折角素直になれるて思うたんに。

上映時間は二時間……
何となく、主役の二人があたしと平次に似とるみたいな気がして…
前から見たかってん。



「どや?楽しかったか?」

映画が終わって、劇場から出たら、平次はあたしに尋ねた。
あたしは、何となく気まずくなってしもて、無言で頷いた。
けど、平次はそれで満足してくれよったみたいで……

「ほな、次の場所行こか。」

そう言って、あたしの手を引いた。

「なぁ、平次……今度は何処行くん?」
「もう夕食の時間やろ?せやから………」

と、平次があたしに見せたんは、料亭のパンフレット。
しかも、かなり高い料理ばかりある料亭や。

「へ、平次……まさかココ行こうて言うんや……ない、やろ?」

振り向いた平次の真剣な眼差しに、あたしは何も言えんようになってしもた。

「その、まさかや。」

さも当たり前な事のように言うた平次は、
何度も来た事があるみたいに、その場所にあたしを案内した。

ホンマに綺麗な料亭で………
京都の夜景も見れて……豪華な料理も出てきて………

「平次、大丈夫なん?お金……」
「心配すんなや。そんなヘマするわけないやろ。」

用意周到とばかりに、平次は財布からちらりと何枚かの万札を見せた。
……それ、ホンマに一食の食事で消えてしまうんやろか……
驚く事ばかりで、いつの間にか不機嫌な気持ちも、辛い気持ちも忘れとった。

運ばれてきたんは、料亭で一番高いコース料理。
その美味しい料理と食べながら、平次はあたしに話を切り出した。

「俺な、ここで初恋の女に会うたんや。」

ズキン………

先ほどまで消えかけとった痛みが、再び蘇る。
……まさか、あの指輪選んどったん、初恋の人?
まさか、これからここに来るとか言うんと………

「まだガキの頃の事や。小学校三年の頃……京都に来た時に、見つけたんや。」
「………知っとる、よ」

何とか、返事を返す。
料理を口に運ぶ手が、止まってしもた。

「そんで、俺は今も……ずっと初恋の人の事が忘れられへんかってん。」
「…………」
「髪二つに結わえてな、綺麗な着物着とって、薄く化粧して………
桜が舞っとる中で、鞠ついとったんや。」



……………え?
小三の頃、京都に来た時……………
髪二つに結わえて、綺麗な着物着て薄く化粧して…………



「へ、平次?それって………」
「俺は山能寺ん中で気絶しとってな、気がついたら手まり唄が聞こえてきたんや。
そんで、格子越しに外見たら、手まり唄歌いながら、そいつ鞠ついとってん。
何でか、唄の一部を『嫁さん』て勘違いして歌うててな………」



「嫁さんやのうて、あねさんや!ボケ!!」


平次の言葉が、蘇る。

「その女にな、俺は今までずっと片思いしとったんや。
けど、やっと今の中途半端な関係から、抜け出す決意がついたんや。」

片思い…………?
中途半端な関係から、抜け出す………?

何、言うてんの?平次。

まともに、思考が働かへん。

「けど、ここんとこその女なんでか怒っとってな……
三日間まともに口利けへんかってん……
今日この料亭、キャンセルするかも知れんて、内心はらはらしとったんやけど。
何とか、計画どおり、ばっちり行ったみたいやな。」

計画…………どおり、やて?

「ガキん頃から、ずっとココで言う事に決めとったんや。
俺ら、まだ学生やけど、約束だけでもしておきたかったんや。
…………和葉、これ受け取ってくれへんか?」

平次が出したんは…………
黒くてちっちゃいケースに入った………
綺麗な指輪。



「………これ、どっきりとちゃうやろ?」



起こっとる事が信じられへん。
平次は「当たり前や」て言うてるけど………
何を信じてええんか、分からんかった。


「平次……指輪、女の人と買っとったやん。」
「あぁ、そや!指輪、どんなんがええんかさっぱりやったから、
前に事件で仲良ぉなった子に頼んでな。」



それやったら、平次はあん時、あの子のために指輪選んでたんやなくて………
あの指輪は、あたしのやったん?



「けどっ、平次いつもあたしとの約束遅れてきとるし……」
「いや、スマンな。和葉が待っててくれとるて思うたら、安心して事件に集中できるんや。
集中しすぎて、たまに遅れてしまうんやけど……これでも、頑張っとるんやで?」



そうやったん?
あたしとの約束は、どうでもよかったんやなかったん?



「これからも、ずっと待ってて欲しいて思うてるんやけど………」



平次が呟いた言葉に、涙が溢れてくる。
まさか、平次がそんな事言うてくれるなんて………

「アホ、泣くなや。俺がいじめとるみたいやんけ。」


困ったように、あたしにそう言うた平次。
何か、こんなシチュエーション……前にもあった。
忘れかけてた記憶が……蘇る。


「……そや。この料亭、一度来た事あったね。」
「思い出したんか?」
「うん。」




「へいじ!!あたしおなか空いた!」

わがまま言って、地面にぺたんって座り込んだあたし……
あれは、まだ五つの時やったね。
平次の家族とうちの家族で京都に遊びに来てたんやけど……
あん時、事件が起きて……あたしら、おとんとおかんと離れてしもて。
何かあった時ん為やて、平次がお金持たされとったみたいやから……
平次はあたしにジュース買うたりしてくれとった。

けど、もうおなかはぺこぺこやってん……

「それやったら、かずは……どっかお店入って食べさしたる。
まだ、けっこうおかね残ってんねん。」
「ほんま!?」

「こんなにあるんやで!」て平次があたしに見せてくれたんは、1000円札一枚やった。
まぁ今やったら、マクドで食べる分には事足りるやろてくらいのお金やけど……
あん時、まだ小っちゃかったあたしらは、お札一枚で色々なものを買えると思ってたんや。

「かずは、どこで食べたい?」
「そやね……」

きょろきょろと周りを見回したあたしの目に入ったのは、ここの料亭やった。

「あっこ!!」

あたしが指さしたんを見て、平次も料亭に気付いた。
食べようて言うて料亭に行ってみたんやけど……

「ごめんな、うちは千円で食べれるもんは置いてないんや。」

料亭から追い出されてしもた。
平次は、納得しとったみたいやったけど……
あたしはどうしてもそこで食べたかってん。

「いやや!ここで食べたいんや!!」
「かずは、おかね無理なんやて。」
「だって、1000円もあるやん。何でなんも食べられへんの?」

料亭の人も困ってたんやけど……当時のあたしにそこまでの気配りは出来ひんかった。
泣いて駄駄こねとったら、平次が小っちゃくため息ついて……
あたしの頭にぽんて手ぇ乗せて。

「おばちゃん、すまんけど5分だけ、こいつここ置いといてや。」

料亭のおばちゃんにそう言って、あたし置いて店出てってしもた。
平次があたしのこと見捨ててしもたんやて思て、あん時はもっと泣き叫んだんやけど……
料亭のおばちゃんが忙しい中であたしを励ましてくれとると、すぐに平次が戻ってきて……
困ったように、頬かいて……

「アホ、なくなや。オレがいじめとるみたいやんけ。」

そう言って、息切らしてにこって笑ろてくれたんや。

「かずは、やくそくや……大きなって、オレがお金もっとたくさんもてるようになったら、
お前ここにつれてきて、この料亭でいっちゃんごうかな食事食べさしたる!!
……だから、今はこれでかんにんしとってや。」

そう言って、平次があたしにくれたんは、飴と、お菓子がぎょうさん入った袋と………

おもちゃの、指輪。

「へいじ、これあたしにくれるん?」
「そや!”ちかいのあかし”や!!今度ここに来たら、
そん時は、お前にホンマのゆびわと、うまい料理ごちそうしたる!!」

「やくそく、やで?」

あたしはすっかり泣き止んで、気がついたら平次に向て笑ろとった。
小指差し出して、指きりやて言うて。
平次も、あたしの指に自分の小指絡めてくれて……




「あん時の約束、覚えててくれたんやね。」

おもちゃだったあん時の指輪。
平次が、泣いてるあたしを宥めるために、この店入る前に見つけとった店で買うて来てくれた…
あん時、嬉しかった気持ちが、今更に嬉しい気持ちになって蘇る。

「今度のは、ホンマの”誓いの証”やで?受け取って、くれるんか?」
「………当たり前やん。」


幼馴染みっちゅう関係が、初めて嬉しく思えた。
あんな小っちゃい時から、あたしらはずっと一緒にいれた。
あんな小っちゃい時の約束を、平次は覚えとってくれた……



エンゲージリング……
女の子に幸せをくれる指輪………
約束の…………13年前の、大事な思い出がつまっとる指輪……
あたしは、平次と……これからもずっと一緒にいたい………
一緒に居るのが、当たり前の二人でいたい……
大丈夫や、この指輪が、いつだって平次の気持ちの証なんやから。
今日、この指輪を指にはめてから……あたしの心のどこかが成長した。

今までは、文句ばかりやったけど……
ずっと、ずっと平次の事信じて支えて行こうて.………
そんな気持ちに、なる事が出来た。



「平次、大好きやで………」
「アホ、照れるやんけ。それより、早よ飯食えや!!」
「そやね!!いただきます!!」



実際に結婚式を挙げたんは、あたしらが二十歳になってから。
平次との間に、可愛い子ぉが出来たんも、もっとずっと先の話や。

そんで、思ったよりたくさん食べたあたし達が、
伝票を見て顔を引き攣らせたんは、これからほんの数時間後の話や。



……平次、このくらいで財布空になってあたしにお金借りとったら、
将来結婚後の事が不安やで。






〜FIN〜












作者あとがきっっっ♪♪

こんにちは〜v朧月ですっ!
エンゲージリングシリーズ第二弾、平和バージョンです!!
平次も一緒にアップ予定だったのだけれど、それはさすがに無理でした(汗)。
これ、エンゲージリングの話でよかったのかなぁ……。
別に『幼馴染み』とかってタイトルつけたほうが良かったかもなんて思ったりして。

今回は前回と違って女の子サイドが先と言う事で。
平次サイドもすぐアップしようと考えてます。
平和、二番目に大好きなカップリングです。
一番な新蘭が何故かまだエンゲージに登場してないのが首捻るところですが……^^;
彼らの指輪ストーリー、他にかなり書いてて……
ネタがあるにはあるけど、かぶらないように考えると結構難しくて(^^;
でも、ちゃんと出てきますよ!!王道だもの。
まぁ、またも色々つっこみどころの多い話ですが、
読んでくれてありがとうございましたvvv
感想大歓迎ですよvvvvvvそういう心優しい方は、いざ掲示板へレッツゴー♪♪


この話の平次君SIDEもありますので、
そちらもどうぞ御覧になって下さいねっvv
(現在はまだ執筆中。)

ではではっvvv


H16.9.2 管理人@朧月