貴方が月なら私は…




第三章 月、風、そして…

こうして騒がしい二日間は始まるのだった。

「ほんでな、田中がな…」
「だーうっせー!静かにしろって言ってんだ!」
「そんな怒らんといてーな。」
「じゃ静かにしろ。」
「へいへい。」
「大変そうね、工藤君。」
「なんとかしてくれよぉ。」
「そうね……こんなのはどうかしら?」
「「??」」



「静かにしないと、新しい薬の実験台になってもらう……とか?」
とクスクス…笑いながら言ってみた。
そしたら…
「わかりました、静かにしてます……」
「さ、さすが灰原。すげーよ……。」
「どういたしまして。自分でもびっくりだわ。こんなに効果があるなんて。」
「「ハハハ………」」



そしてこんな他愛のない会話は深夜まで続いた。





「はい、工藤君。コーヒー。」
「おっサンキュー。」


「そういえば灰原。なんであんなこと聞いたんだ?」
「あんなこと?」
「ほら…夢だよ。」
「別に……。」
「ちょっと風に当たらないか?」
「別にいいけど…」




「あのさ、前に蘭が言ってたんだ。"月になりたい"って……。」
「え?」
「冷たい闇に微かでも明かりを灯して、苦しみを全て包みこんで、
温かく見守っていたい...って。」
「太陽じゃだめなの?」
「灰原も同じこと言うなぁ。」
ハハ…と哀しそうに笑う彼の横顔を見るのが……辛かった。
「え?」
「俺も蘭に聞いたし、服部に話したときもそう言われたよ。」
「そう……。」
「…太陽だと眩し過ぎるから駄目なんだってさ。…暗闇を照らすのは、
月明かりが一番優しくていいんだって……。」
「そう……。」


「貴方は…?」
「俺?俺は……風…がいいな。」
「風?」
「うん。強い風じゃねーぞ?優しい風だ……。そよ風ぐらいの……。」
「何故?」
「んー…特に理由はねーけど……。それこそそういう風で苦しんでる奴を包み込んで
やりてーな。探偵としてでもあるし、一人の人間としてでもあるかな。」
「へぇ……」





「じゃあ私は星にしようかな……。」
「え?」
「だから…星……」
「月も星も一緒じゃねーか。」
「ちいさな名もない星よ……。蘭さんが月なら私は星がいいな……
蘭さんと一緒に闇夜を照らすの……。」
「………。」
「だって月が二つもあったら眩し過ぎるでしょ?いくら優しい光でも……。
私はその月に調度いい明るさを保つの……。」


「…お前らしくていいんじゃねーか?」


「ありがとう…!」


彼に話してよかったわ……


今はまだ無理でも、いつかなりたい、星。

いつか罪という呪縛が解けたとき、今度は私が貴方を照らしてあげる……

そう……



小さな星明りで…月と一緒に………







〜FIN〜


☆あとがき☆
これは朧月さんが書いた、
月明かり… の哀ちゃんバージョンを美奈が勝手に書いて、
勝手に押し付けてしまった、駄目作です。
これを見て、 月明かり… のイメージが壊れてしまった方、
そして、勝手にこれを押し付けてしまった、 月明かり… の作者、朧月様、
心からお詫び申し上げます。



管理人より…というか叫び?

美奈さんからいただいた素敵小説、最終話です。
最後だけ掲載が遅くなってごめんなさいっ!!

なるほど、星かぁ……
うん、そういう考え方もあるんですね。
星も哀ちゃんのイメージありますよね、うんv
素敵なお話、ありがとう御座いましたvvv
楽しませていただきましたよvvvvv

H16.8.14 管理人@朧月