〜未来予想図〜 ある、晴れた日。 舞台はそう、二十年位後の米花町。夢をかなえて探偵になっている大人の工藤新一と、部屋の中には蘭も一緒にいるんだ。 大人になったから、ブラックで淹れたコーヒーがカップに二つ並んでて、蘭はそこに砂糖を二つ落とす。 「もー、やっと時間取ってくれたと思ったら、さっきから椅子に座って固まって。どうしたの?」 「あ……いや、その。とにかくまずはコーヒーでも飲もうぜ」 「これで三杯目だよ? 私達の間で、そんなに言いにくい事?」 成長した蘭は、ずっと大人びていて、ちょっと髪を耳にかける仕草一つで胸がドキドキしてしまう。 この頃、本業の方が忙しくて、中々蘭との時間が持てずに居る。蘭がたまには話がしたいという度、少し構ってやれない自分にじれったさを感じて、それがようやくだ。 だから、この日しかないと思って、色々な用意をして蘭を出迎えて…… そして、この今に至るという事。 「蘭、あのさ……」 「うん」 「あの、オレ達そろそろ一歩踏み出してもいいかなーなんて思うんだけどよ」 しどろもどろ言った言葉が、思いっきり上手く伝わらなかったのは蘭を見ればよく判る。きょとんとして、首を傾げて、解説を待ってる顔で見つめるんだ。 「ホラ、いい加減よ……幼馴染ーとかって、あきねーか?」 「……えっ」 「オレの気持ち分かってると思うから、今更だけど。恋人……っつーか、いっそこのまま二人で結婚……っ」 驚いた顔が目に入って、心臓が止まる。蘭が何を言うのか、それを聞くのが怖いんだ。 ドキドキ、胸の鼓動がうるさすぎて聞き取れる自信もない位だ。 「ほ、本気……?」 「ああ、わりぃかよ!」 わざわざ不機嫌そうに照れ隠ししか能がないのは、多分こんなに成長しても変わらないと思う。 呆然とした蘭がゆっくりコーヒーカップをテーブルに置いた。 「私も変わりたい、なんて言ったら、びっくりするかな?」 「へ?」 「私ね、新一と、ずっと一緒に居れたら幸せ。だと、思ってるよ?」 ほんのり赤らんだ頬を眺めて静止する事十秒くらい。その下の唇が、凄く柔らかそうに見えて、身を乗り出して奪うんだ。 「きゃっ!」 「こういう意味でいいんだよな? ……実は、指輪とかはまだ買ってねーんだ。でも、その代わり花束用意しといたから」 「わーっ、綺麗! じゃあこれは恋人記念だね」 花束は嬉しそうに受け取ってもらえて、蘭はそれを抱きしめながら喜んでいる。 次の日には、おっちゃん達に「蘭をオレに下さい」の挨拶。猛烈に反対されながらも、二人の愛の力で乗り越えて、ゴールインするんだ。 ベールをめくって、キスをして。二人で愛を誓い合うんだ。 子供も出来て、工藤家は凄く賑やかになるけど、でも探偵業が忙しくて、家族と逢える時間は凄く貴重なものだ。 いつか、そんな未来が待ち受けてるかも知れない、まだ幼い二人は…… 今はただ、ずっと隣を歩いて行く。 =FIN?= 「ねぇ、しんいちー。このお話ちょっとむずかしくない?」 「へ? そうか?」 「んー。はんぶんくらいしかわかんなかったよ。つまり、らんはしんいちの”およめさん”になるの?」 「え? ……えっ!?」 「いいなー、およめさん! ゆびきりしよ!」 「ちょっ、ら、らん!?」 でも、今はやっぱりまだ子供。 真っ赤になりながら、指きりを交わした。そんな事、大人になったら薄れていく記憶だろうけれど。 それでも、交わした指きりは、いつか……いつか。 *********** こちらは、tea time様の三周年祝いに、ちび新蘭でお祝いをー♪ 人形新蘭と一緒に二人をプレゼントしてきました! これからも素敵なサイト様の繁栄を楽しみに通わせて頂きます♪ |